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包丁の種類

 包丁の種類、いろいろ包丁はとても種類が豊富な道具です。切る食材や用途に合わせて、さまざまなタイプが用意されていますが、その構造の違いから、大きく分けて「洋包丁」と「和包丁」の2種類に分かれます。

洋包丁 /「肉を切る」目的で生まれた包丁

 主に西洋料理で使われる包丁の総称です。もともとは、肉を切ることを目的に作られ、欧米を中心に発達してきました。

|構造/切り方

 洋包丁は刃の断面が左右対称のV字型の「両刃」構造です。切り方は「押し切り」がメイン。
 包丁の重さを利用し、包丁を前方へ押しながら、刃先から刃元へ向かって力を入れて切ります。
 この方法で切ると、硬い食材でもザクッと簡単に切ることができます。
この「押し切り」は、しっかりと強い力を加えられるため、骨付きや固く筋のある肉類、繊維の粗い野菜を切るのに適しています。

|種類

 洋包丁も種類は豊富で、さまざまな用途に用いられています。

|牛刀(ぎゅうとう)|
 本来は食肉(枝肉)の仕分け用の、薄く、刃渡りが長く大きい肉切り包丁。
サイズの幅が広く、家庭用として野菜やパン切りなどさまざまな用途にも使いやすい6寸(18cm)や7寸から、精肉の仕分け用の40cm近い大包丁まで市販されている。
|筋引(すじびき)/カービングナイフ|
 肉を解体する際に、大きなブロックを硬い筋ごと切断し、さらに小さなブロックに切り分ける際に使う、長い細身の包丁。
 ローストビーフを切り分ける際などにも使われる。
|肉切りナイフ/ブッチャーナイフ|
 主に食肉店で使われている、肉を切るための専門の包丁。
骨を身から剥がしたり、皮をすいたりなどの用途で用い、食肉を適当な量、形状に切り分けていく。
 ちなみに食肉店で精肉を行う人を「ブッチャー」と呼ぶ。
|スライサー|
 主に薄切り肉や刺身、ハムなどスライスする時に用いる包丁で、刃先には丸みがあり細身の形状をしている。
|骨すき|
 骨から肉を切り剥がすために用いるナイフ。サバキとも呼ばれる。
|ペティナイフ|
 野菜・果物の皮むき、カクテルやケーキ用フルーツの飾り切りなど用途の広い小型の万能ナイフ。
|三徳包丁/文化包丁|
 日本の家庭で一般的に使われている万能包丁。
 刃は薄く、野菜・肉・魚を一本で処理できることから「三徳」という。
 戦後、家庭でも肉料理や洋食を作ることが増えてきたために、従来の「菜切り包丁」と「牛刀」を組み合わせて生まれたといわれている。
 文化包丁ともよばれる。

和包丁 /「日本料理の繊細な美しさを支えてきた包丁

 主に日本料理で使われる和の包丁のことです。
 日本人の食へのこだわりがぎゅっと詰まった和食。
 その調理は実に繊細で、刻む、剥くなどといった切る作業をとってみても、指先の正確さが求められる細かい作業の連続といえるでしょう。
 和包丁はそうした和食の繊細さに対応しながら発達してきました。
 原型は日本刀にあるといわれており、その鋭利な切れ味は和包丁の代名詞ともいえます。

|構造/切り方

 和包丁の多くは片刃構造を基本としています。
 裏が平面で、表側のみ斜めの砥ぎ面となっており、横から刃先をみると、断面が「レ」の文字のようになっています。
 片刃は両刃に比べ、食材を切った際に刃から離れやすく、刻む、剥くなどの動作が素早くできるようになっています。
 切り方は「引き切り」がメイン。刃全体を使い、すべらせながらスーッと引いて切ります。
 刃を滑らせながら切ることで、実際の包丁の刃よりも鋭い角度で切断でき、切断面をより綺麗に仕上げることができます。
 魚など身の柔らかい食材を切る際には、なるべく組織を壊さないよう、またお刺身など切断面の美しさが際立つよう、「引き切り」で切ります。

|種類

 和包丁は食材に応じて、包丁を使い分けることが多く、また用途によってもさまざまな種類の包丁が用意されています。
 魚や鳥などの比較的柔らかい身の調理を例にあげると、解体する際に使うのが「出刃包丁」、刺身などより繊細な切り方をする際には「刺身包丁」といったように
 同じ食材でも用途によって使い分けます。
 また、野菜でも、家庭用で野菜をザクザクきるのに適しているのが「菜切り包丁」、一方野菜全般の調理に向き、皮むきや細かい細工に適しているため料理人に幅広く使われるのが「薄刃包丁」など。
 ちなみに、和包丁は、洋包丁とは異なり、右利き用・左利き用が準備されているのも大きな特徴です。

|出刃包丁|
 魚や鳥・スッポン等を解体するときに使う。
 使用中に力を入れても刃先が曲がらずに使えるように刃が厚く重い包丁で、形状は三角形。
 江戸時代に泉州堺の出っ歯の鍛冶が開発したことから、「出刃包丁」という名がついたという説も。
 大きさにより、大出刃、中出刃、小出刃と呼び分けることがある。
|薄刃包丁|
 日本に昔からある、主に野菜全般を切るための伝統的な野菜包丁。
 刃が薄く作られており、日本料理ではかつら剥きや野菜の曲切りなど非常に用途が広い。
 小型の薄刃包丁を特に皮むき包丁と呼ぶこともある。
|菜切り包丁|
 主に野菜を切るための包丁。
 薄刃包丁と形状が似ているが、菜切り包丁は両刃で切っ先は丸く、家庭向けとして広く普及している。
 本職向けの薄刃とは機能が異なり、桂剥きや細工切りなどの機能は考慮されていない。
|刺身包丁|
 刺身を引くための包丁。
 刺身を切る際に刃を往復すると食材の切断面が傷み、光沢がなくなりやすいため、一方向にのみ引き切ることができるよう刃渡りが長くなっている。
 もともと関東型と関西型があり、関西型は先が尖った形状から柳刃(やなぎば)と呼ぶ。
 近年は柳刃が関東も含め全国的に主流となっている。
|蛸引き包丁|
 刺身包丁の関東型。
 刃が直線的で先端を平らに切落としたような四角い形状になっており、柳刃よりもやや薄い。
|身卸(みおろし)包丁|
 出刃包丁の一種。刃をやや細く長くして捌きから刺身を引くまで一本で間に合わせようとしたもの。
|舟行(ふなゆき)包丁|
 身卸包丁と形は似ているが刃が薄く、魚から野菜の処理までこなす万能包丁。
 多くの料理道具を携帯できない釣り船などに持ち込む包丁の意味。
|ふぐ引き包丁|
 フグの刺身をつくるための特殊な包丁。
 刃渡りが長く、刺身包丁の身幅をより細くした形状で、刃も薄い。
 ふぐの身をとにかく薄く美しく引くために、切れ味を重視したつくりになっている。
 この他にも、和包丁は魚の種類に応じて実にさまざまな種類が用意されており、鮪包丁(マグロを解体する)、穴子包丁(アナゴを捌く)、鱧切り(ハモの骨切り専用)、附包丁(かまぼこを成型)、鰹包丁(カツオを捌く)などがあります。
|麺切り包丁|
 蕎麦・うどんなどの薄く延ばした生地を麺の形に切るために特化した包丁。