辻林寛年と言います。出身は大阪府の和泉市というところですね。

18歳に高校を卒業してすぐにこの山脇刃物製作所へ一旦入りまして、4年間勤めた後に一度この会社を出まして、政治家の秘書をしていました。それを10年ほど勤めた後に、またこちらへ戻ってきて、現在に至ります。

もともとその刃物ですね、特に日本刀に興味がありまして、高校の時に日本刀とか刃物に関係する仕事につきたいです。
今まで使っていただいたお客様が「ここの包丁が一番いいんだ」と言って、また買いに来てくださる、いろんな所の包丁を試したけれども、ここの包丁が一番いいって、だからまた買いに来たと言ってくださる時がやっぱり一番嬉しいですね。

まず日本の包丁というのは切れ味が非常に他の国の包丁と比べてもいいと、私自身も思っているんです。おそらく日本の刃物業界に関わっている者は全てそう思って、全員がそう思っているんじゃないかなと思うんですけれども、ただその分やっぱり日本の包丁は繊細なんですね。

他の国の作られた包丁よりも厚みがやっぱり薄くて、そして刃先もその分薄くなりますので、どうしても繊細で欠けやすかったり、割れやすかったりというのがあるので、非常に使い勝手ということにも気を遣っていただかないといけないと思うんです。その辺まず気をつけていただきたい、そこを気をつけて使っていただいたら、本当に日本の包丁の素晴らしさ、切れ味の素晴らしさというのを体感していただけると思います。

後は鋼の包丁が日本では多いんです。非常にメンテナンスが面倒に感じられたり、「錆びるからちょっとやめておこう」という方もおられると思うんですけれども、やっぱり「手のかかる子供はかわいい」ということは日本でも言われたりするんですけれども、ちょっとその面倒くささを楽しんでいただけたらなと、そういう風に思いますね。そうすることで段々とその自分が使っておられる包丁に愛着というものがもっともっと湧いてくると思いますので、本当にその面倒くささを楽しむという風な感じで使っていただけたらなと思います。